管理
覚え書き
置き場所
日光が好き
日の当たるところを好む。園芸書では半日陰が推奨されます。光量が多いほど、肉厚で幅広の立派な葉姿が楽しめますし、水の吸い上げが良いと徒長も抑えられるので、省スペース化が望めます。私が見ている範囲では、明るい窓辺や、軒下などが適する様です。
室内では
水を上げすぎないことが肝要です。姿を乱さずに楽しめます。ある程度の明るさを確保すれば、後は手間要らずです。どうしても日が当たらないなら、様子を見て時折軒下などへ出すと良いでしょう。
のっぽさん、ふらふら
屋外では、背が伸びるにつれて風で転倒しやすくなります。高さのある鉢はコーナーに置いて風をよけるか、他の鉢と寄せて置くと良いです。重みのある素焼きや木製の鉢を使えば、移動は大変になりますが一番安心できます。
水遣り
夏は表土が乾いてから、冬は鉢の土が乾いてから。底から流れ出るまでしっかり与える。
乾燥地の植物なので水切れに強く、逆に冬の過湿には弱い。室内で育てる場合、水遣りは年間を通して控えめが安全。同時に成長が抑えられ、葉の密な姿を長く楽しめるようになる。なお、夏場は水の吸い上げが良いので、本当に水を切るとしおれてきてしまう。葉の様子を見ていれば、しおれてくるので分かる。
早く、大きく
とにかく大きくしたい場合は、成長期に多めに与える。戸外に出して日光によく当てれば、多少過湿気味でも充分育つ。2〜3週間に1度液肥を併用する。節間も広がってぐんぐんと高くなる(徒長とも言います。汗)。毎年大きい鉢へ植え替えるのが味噌。また、夏の間だけも地植えにすると、覿面に効果がでる。
水遣りの時の、ひと手間
屋内でも戸外でも、埃がついて色がくすんでしまう。葉水で洗い流せば一層綺麗な緑が楽しめます。但し、濡れたまま日光に当てていると、水滴がレンズの働きをして葉焼けを起こし、水玉模様になることがあるのでご注意。濡れ布巾で拭くのも方法の一つ。
越冬
園芸書には5〜3℃以上が良いとされる。熱帯産である観葉植物の中では寒さに強く、株が充実していれば更によく耐える。鉢を乾かしておけば氷点下にも耐える。軒下などに入れて、雨に濡らさないのがポイント。水は鉢の土が乾いてから与えよう。寒さに負けて葉の色が褪せてしまうこともあるが、これは春以降、徐々に回復する。
冬は根腐れを起こしやすいので、受け皿に水を溜めておくのは絶対に禁物。暗所では弱い葉を生やすので、なるべく日の当たるところに置きたい。適温と水があれば成長を続ける。ただ、どうしても徒長気味になりやすい。春先にも鋭利な葉姿を楽しみたい場合は、水を控えて休眠させると良いかもしれない。
根腐り
ユッカの失敗のほとんどは根腐りだという。特に、根が充分に張っていないまま出荷される場合があるので、新しい鉢は要注意。根付けに際して発泡スチロールで支えてあるので、見た目では判らない。
根が全て腐ってしまっても幹に蓄えた分で補うので、枝先の変化は少ない。幹を握るとぶかぶかしていたり、ぐじゅっと水の音がする場合は、そこまで腐りが入っている。鉢から完全に水を切って管理し、暖かくなってから腐った部分を切り落とそう。硬い健康な部分を新しい土に差せば、発根してそのまま楽しむことが出来る。
用土
性質が頑強なので、日光さえ当たれば土を選ばない。実際、粘土ッ気の多い実家の庭に地植えにした株は、実に青々とした姿のまま越冬した。が、鉢物は土を選んでおくと後の管理がずっと楽になる。
園芸店の店員でもなければ、つい雑な土の使い方をしてしまいがち。しかし、いつまでも表面が湿っているような土を使うと、室内では黴が生えてしまう。冬の管理もあるので、排水性と通気性を大事にした方が楽。礫質の物が良い。
赤玉土5:腐葉土3:川砂2。幾つも資料を当たったが、入手が簡単なのでこの配合に落ち着いた。手持ちに余裕があれば、パーライトを混ぜるのも良い。因みに、試しに蘭栽培用のウッドチップだけで鉢を一つ作ったところ、とても良好に育っている。
安価な腐葉土の中には、発酵が不完全なものがある。知らずにこれを室内に置くと、酷い時は小蝿が涌いてしまうので気を付けたい。今は培養土で代用している。ピートモスを使っても良いらしい。
赤玉土はとても便利な基本用土だが、玉が崩れた後に残る赤土は粘土に近い。そのまま鉢に入れてしまうと、土を固めることになる。なるべく入れないよう気をつけているが、ふるいにかけて取り除くのが本当は一番。植え替えで土を交換する手間と勘案してみて下さい。こうした微塵(みじん)が出ないように、特に硬く焼き締めた物も売られている。
肥料
成長期に固形の緩効性化成肥料か、液肥を与える。水と肥料の量に応じて伸びるので、それぞれ置き場所を考えて、育てすぎに注意しよう。
固形肥料
月に1度、鉢の縁に置肥する。顆粒状のものや、カプセル状のものがある。袋に書いてある用量を目安にしながら与える。油粕などの有機肥料は、風通しの悪い室内ではカビを生やす結果になりやすいので避けるのが無難。
液肥
2〜3週間に一度。袋に書いてある用量を目安にしながら与える。化成肥料は効き目が強いので、常に薄目に与えるのがコツ。
肥料障害
肥料は根元から離して置くのが基本と言われるが、これは肥料障害を防ぐため。濃い肥料は水の吸い上げを阻害し、濃過ぎると根から逆に水を吸い出して枯らしてしまう。なめくじに塩を振ると脱水死するのと同じで、浸透圧の原理。肥料を与えすぎると根腐れするとよく言われるが、迷信なんかではない。
植え替え
植え替えが必要な訳
時間が経つと、だんだん用土の目が詰まって、硬くなってくる。こうなると根の成長を土が邪魔してしまうので、やがて葉や幹にも影響が出てきてしまう。また、土の中に微量に含まれている、その植物が必要とする栄養素を使い尽くしてしまうイヤ地(連作障害)を防ぐ意味でも、植え替えをしてあげたほうが良い。(ちなみに、植物は老廃物を根から排出しますが、この老廃物は生育阻害に無関係だそうです。)
また、成長の盛んなユッカは根詰まりを起こしやすい。鉢底からひょろり、と根が出ているのは見た目が悪いだけでなく、幾つかの点でユッカを弱らせてしまいます。
根詰まり
根詰まりとは、鉢の中が根っこだらけになってしまうこと。
水が鉢土に染み込むのに時間が掛かるようになったり、下葉の葉先からから枯れてくるのは、根詰まりのサインだと聞きます。根っこが土の間にみっしりと詰まって水が入り込む隙間がなくなっているのが原因で、同時に水の吸い上げも阻害されるので、栄養が隅々まで行き渡らなくなって、結果古い葉の先から枯れてくるのです。
大鉢は2年に1回を目安に植え替えます。小さな鉢は毎年植え替えるのが吉です。
いざ、植え替え
ユッカは本来、地上部同様、発根も盛んです。鉢から抜いた時に太い根がぐるりと回っていたなら、ユッカが元気な証拠ですから、少し根を整理してやりましょう。根鉢が回っていると、その内側では逆に根が張り辛いのだと聞きます。できれば軽くほぐしてから、一回り大きな鉢に植え替えます。
成長を抑えるには、根を2/3くらいの適当な大きさに切り詰めて、同じ鉢に植えます。
根を切り詰めた後だと、背の高いものは、風で倒されて鉢からすっぽ抜ける事があります。なるべく風をよける工夫をしましょう。他の鉢やブロックなどを寄せてやると、ずっと良くなります。安定するまで支柱を立てるのも手。
害虫
特に目立った害虫はないが、一般にカイガラムシの予防が望まれる。また、弱ったり傷んだりしていると虫が付きやすい。
経験上は、日照不足などで弱っている葉に、アブラムシがつく。これは湿気を好む。ティッシュペーパーなどで葉を擦れば潰れるので、適当に除去しながら日光に当てて強く育てると、自然と居なくなる。放水の圧力で吹き飛ばす場合には、ユッカまでへし折らないように気を付けよう。(失敗経験あり)
カイガラムシについては農林水産技術情報協会の、植物の害虫「カイガラムシ」のページが詳しい。