ふわふわの泉
エンカウント
ある日書店に立ち寄って手にとった雑誌に「2001年度SF小説ランキング」なる企画が掲載されていて、その邦書部門ベスト10にランクインしていたのが、この『ふわふわの泉』です。
軽いタイトル、未だ手にした事のなかったファミ通文庫で、推挙されるほどのSF小説。
そんな魅力に惹かれて、書店を梯子して購入しました。
あらまし
浅倉泉は、科学部の部長として日夜実験に没頭する高校生。彼女は不意のトラブルから偶然、シャボン玉状の、まったく未知の物質を生成してしまう。それは空気より軽く、ダイヤモンドより硬い夢の素材。喜ぶ部員の保科昶に、泉は真剣な顔で言った。
「努力しないで生きたいと思わないか」
革命的発明をした二人の、世界を相手にしたビジネスが始まった。
感想
とんとん拍子でスケールアップする話の面白いこと!薀蓄も山盛りです。
高校の部室から始まって、宇宙を股に掛けた壮大なスケールへと発展してゆく物語。
突拍子もない空想ながら、会話の中で行われてゆく検証にずいずいと説得されて納得してしまう。
行動力と決断力、環境適応力に溢れた主人公の言動こそが物語の屋台骨。
まだまだ際限なく広がってゆく見通しのラストシーンは、無限に拡がる科学と、人の可能性を夢見させて、痛快。
にやり、とすること間違いなしの良作です。
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